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鳥取県米子市の老人福祉施設 なんぶ幸朋苑のスタッフやご利用者が参加するブログエッセーです。管理人やご利用者のエッセー、施設からのお知らせなど、このブログでなんぶ幸朋苑を身近に感じていただけたら幸いです。
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なんぶ幸朋苑には第二次大戦の末期に広島で被爆されたご利用者がいらっしゃいます。今ではとてもお元気になられたTさんは、広島の中心部にあった名門の「山中高等女學校」(今の広島大学の前身)を卒業されていますが、その美しい思い出の校舎は原爆で全焼し全校生徒の9割にあたる387名もの在校生が亡くなった大惨事の現場となってしまいました。今では広島市中区千田町の校舎跡地に祈念碑が建っているそうです。

Tさんが話をされる被爆前の広島はいきいきとした活気のある町で、原爆投下で一変した町の様子などを聞くと戦争の悲惨さがひしひしと伝わってきます。あの状況を経験し、戦後様々な苦労をされて今ここで余生を過ごしていらっしゃるTさんにはいつも笑顔が絶えません。またその反面、筋の通らないことにははっきりとNo!とおっしゃるTさんから学ぶことも多く、人生の経験の重みや明るいバイタリティに頭が下がる思いがします。(バイタリティ=活力・生命力)

そんなTさんが私に本を貸してくれました。認知症にならないための様々なことが書いてあるもので、「T村さんも気をつけないけんよ」とのこと。『立場が逆やん!』と思いつつ高齢のおばあさんから言われると説得力があるというか、素直に「はい、ありがとうございます」とお借りしたのでした。

そんなTさんにお礼の気持ちで、ほとんど資料が消失してしまった「山中高等女學校」の在りし日の姿を見てもらおうとインターネットで写真を探してみました。祈念碑の写真は多数あったのですが、校舎の写真はなかなか見つからず苦労しましたが、ようやく一枚だけ校舎玄関が写った白黒写真を発見しました。他にも校章や名札などの写真もあったので、さっそく印刷して見て頂きました。すると、「ああっ、これ学校だがな!」と大喜びの様子。あまりに喜んでいただいたので、彩色加工をして文化祭で展示することにしました。様々なペイントソフトで失敗しながらようやく完成し、展示してTさんに見ていただきました。

(「山中高等女学校 入学式の朝」 ↑クリックで拡大)

Tさんは白黒写真から生まれ変わった彩色画に「ありがとう!上手にしなったなあ!」と大喜びで握手をしていただき、またしても事務員冥利につきる思いでした。

これからもTさんだけではなく、多くの方に喜んでいただけるように、介護スタッフに負けない気持ちでご利用者と接していきたいと思います。

(T村)

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